シチリアでの出会い①
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私はボランティアをしながらヨーロッパでバックパッカーを半年間していた。
ボランティアと言っても、無給で手伝いをする代わりに、部屋や食事を提供してくれるというものだった。
ホステルや農園などの募集が多く、移動費だけで好きな国や都市に長期滞在ができる、旅行好きな人にはオススメできる旅行方法だ。
休みの少ない日本人の利用者は少ないようだが、世界各国の旅行者にも出会うことができるので語学の向上にも良いだろう。(学校に行くよりも語学力は確実に伸びるだろう。)
私はシチリア島にあるドッグシェルターのボランティアに応募し2週間過ごした。
シチリア島はイタリア本土よりさらに自由な感じで、南部ならではの明るい日差しや荒々しい自然がとても美しかった。
イタリアの中でも一番好きな場所となった。
イタリア人Nとマッチングしたのは、私がシチリアを去る数日前のことだった。
Nはアプリ上にいる今まで見た写真の男性の中で、ずば抜けてかっこよかった。
そんなNから「Ciao」とメッセージが来た時は浮かれまくった。
そこからメッセージのやりとりが始まったのだが、私は次の目的地であるフランスのへ向かう日にちが数日後に迫っていた。
Nからのアプローチは熱烈で、さすがイタリア人だと感じた。
「君がここを去る前に一目でいいから会いたい」
「仕事終わりに車で会いに行く」
など言ってくれたものの、私の働くドッグシェルターは中心部から離れた場所にあるため、来てもらっても申し訳ないと感じ断った。
Nは軍警察に勤めていて土日問わずに事件があれば働いていた。
(イタリアには2種類の警察組織があり、国家警察と軍警察があったが、Nはカラビニエリ=軍警察出働いていた)
そのため、平日でも時間の都合がつくようだったが、会っても辛くなるだけなので会わずに去るつもりだった。
フランスへと向かう飛行機を待っている間、Nからメッセージが入った。
「君に会いにフランスに行くよ。君がどこにいても僕は君に会いに行く」
私はこの甘いメッセージを見て決心した。
”必ずシチリアに戻ってくる”と。
第三者が聞いたら、「いやいや、落ち着けよ」だろう。
しかし単細胞脳の私は、
”スーパーかっこいい男性がこんな甘い言葉をかけてくれるなんて、一生ないかもしれない。”
”人生一度きり、先のことは考えずに今を楽しんだっていいじゃない!”
と浮かれまくりだった。
フランスに渡ってからもNとのやりとりは四六時中続いた。
Wifiのみで携帯を使っていたため、圏外になる時間が辛かった。
会ったこともない人に、こんなに夢中になったのは後にも先にもこれが初めてだった。
毎日骨が砕けそうになるほどの甘い言葉をもらい、Nに会える日を心待ちにしていた。
フランスの農家の後に、スコットランドの犬のブリーダーのボランティアをする予定だったが、キャンセルしてシチリアへ戻る予定を立てていた。
Nも私が自分に会いに来てくれることを楽しみにしてくれていた。
泊まる場所問題だが、Nは「君がベッドを使ってくれたらいいよ、君が嫌なら僕は外で寝てもいい」と言ってくれた。
いろんな妄想を押し殺しながら、フランスでの2週間を過ごした。
こんなにも2週間が長いとは知らなかった。
Nに早く会いたくて会いたくて仕方がなかった。
そしていよいよシチリアへと再び戻る日がやってきた...
※マッチングアプリは誰でも気軽に参加ができるため、本来の恋愛目的以外にも利用する人が紛れています。少しでも怪しいと感じた場合は、友人など第三者からの意見を求めてください。甘い言葉に惑わされて、夢中になってしまい怪しい誘惑に気づいていない可能性もあります。
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