シチリアでの出会い ②
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皆さんも一度や二度の恋に溺れるという経験をしたことがあるのではないだろうか。
特に付き合うまでの駆け引きは、キュンキュンしたりモヤモヤしたり日々一喜一憂することが多い。
ちょっとした言葉に傷ついたり不審に思ったり、はたまたお誘いの連絡があれば一気に有頂天となる。
マッチングアプリでの出会いは特殊だ。
第一印象は写真で決まることがほとんどである。
もちろん、趣味が合うなどの共通点でやりとりが始まることもあるが、写真上の人物が許容範囲外であればマッチする可能性は低いだろう。
Nとはメッセージだけのやり取りを経て、フランスからシチリア島まで会いに行った。
しかも初めて会う日に彼の家に泊めてもらうという。
今思えば大胆すぎるし、他の人にはあまりオススメできない。
でも私はNに会わないと後悔すると思うほどに彼がタイプだった。
バックパッカーでヨーロッパを旅行している最中だったので、お洒落な服も化粧品もほとんど持っていなかったため、出発の免税店でリップグロスを購入した。
空港まで迎えに来てくれているNに幻滅されないように、できる限りのおしゃれをして(免税店の香水サンプルも吹き掛け)出発した。
シチリアへ向かう約3時間の機内では、不安や緊張など様々な気持ちが交錯していたが、到着口でNを見つけた時にすべて吹っ飛んだ。
Nは写真通りのイケメンで、イタリア人の名に恥じないお洒落な男性だった。
やっと会うことができた嬉しさで、どんな言葉を交わしたか覚えてはいないが車で市内へと向かった。
シチリアの春は早く、3月中旬でもビーチは地元の人で溢れていた。
ジェラートを買ってくれたのでお礼を言うと、何も言わず笑顔でウィンクを返すN。
心臓に矢が貫通した。これはモテる男しかできない技だ。
海岸沿いを散歩しながらお互いのことを話した。
Nはシチリアのマフィア犯罪を担当する部署に勤めていた。出身地は別だがシチリアに配属になったそうだ。過去に大麻の栽培などを検挙した際に銃撃戦となり、腰に銃弾を受けたことがあるらしい。アフガニスタンやコロンビアなどの特殊任務で過去に出兵したこともあると言っていた。
今となってはすべて本当の話かどうかはわからないが、軍の基地の中に家があったので、まぁそうなんだろうと思う。
学生の頃にミラノでモデルをしていただけあって、美しい外見にも関わらず全く飾らない性格がさらに魅力的だった。私がシーフードが好きと言ったことを覚えていてくれて地元で人気のレストランを予約していてくれた。
Nの家は一軒家でバスルーム2つ付きの一人では十分するぎる広さの家だった。
彼は当時28歳の若さでチームを率いるリーダー職に就いていたのだ。
そう、Nは完璧すぎた。
ルックスや性格だけでなく、若いながらにも真面目に仕事に取り組み、今の地位を自分で築き上げた彼を人間的に尊敬した。
たった半日しか時間を共有していないが、Nの虜になりかけていた。
この先のことはわからないが、Nと一緒にいれる時間を大切にしようと思いながらベッドに入った。
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